
「エル・フラメンコ」の星
マドリード在住の作家ダビ・ロペス・カナーレスから、先週火曜日(現地時間11月4日)にトマス・デ・マドリーが亡くなったとの知らせを受けました。享年89。ダビは筆者が現在翻訳中の「Un tablao en otro mundo」の著者で、日本のフラメンコをテーマにした本作には、新宿で49年続いたタブラオ「エル・フラメンコ」ゆかりのアーティストが多数登場します。最多リーダー出演記録6回(′71、′73、′76、′82、′85、′86)を誇るバイラオール、トマス・デ・マドリーもその一人。ダビは晩年の住まいだったイビサ島まで訪ねています。確たる美学に裏打ちされ、献身を惜しまぬエネルギッシュなバイレ・フラメンコは、日本でも数多くの信奉者を生みました。トマス自身も規律正しく、礼儀を重んじる日本の文化風習をことのほか愛していたそうです。
