アレグリアス
アレグリアスその2

アレグリアスの意味するところは「喜び」。しかし以前にも紹介したように、単純な喜びだけではなく、人生の悲喜こもごもがそこには散りばめられている。とりわけ踊り用のアレグリアスの場合は、途中にシレンシオ(沈黙、静寂)と呼ばれる静かなパートが挟まれるのが伝統のスタイル。アレグリアスは基本的に長調だが、シレンシオの部分ではメロディーもしばしば短調になり、しっとりとした風情を醸し出す。一方これも踊りの場合、最後には快速調のブレリア・デ・カディスを伴うのが一般的。ひとつの曲の中で、人生のさまざまな場面を見るような変化が楽しめるのがアレグリアスの面白さとも言える。

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アレグリアス
アレグリアス

スペインにあまたある民族舞踊の中でも、ことに名高いアラゴンのホタを、アンダルシア最西端の町カディスに定住したヒターノが取り入れて生まれたのが、アレグリアスとされている。辞書を見るとalegríaの項には「喜び」とある。しかしそれは、単純に浮かれ騒ぐだけの「喜び」ではない。明るい節まわしの中に人生の哀歓をたっぷり織り込んだ、実に奥深い喜びなのだ。

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タンゴ
タンゴ

カンテ指南、アレグリアスに続き今回と次回は、やはり非常にポピュラーな曲種のひとつであるタンゴを取り上げる。アレグリアスを12拍子系の代表選手だとするなら、タンゴは紛れもなく、2拍子系の曲種のトップに君臨する。

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ビジャンシーコ
ビジャンシーコ

 時は12月。「祝祭カレンダー」ができるほど祭りが多いスペインには、キリスト教徒にとって最大の祭りがやってくる。すなわち、クリスマス。神の子イエス・キリストの生誕を祝うクリスマスは、スペイン語でNavidadと呼ばれる。街にはキリスト生誕の場面などを描いた一種のジオラマであるベレン(Belén)が並び、通りごとに意匠の違う飾り付けがなされる(方向音痴の人間には助かる)。

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セビジャーナス
セビジャーナス ポル・ラ・マニャーナ

以前にも、ロシオ・フラードがカルロス・サウラの映画『セビジャーナス』の中で歌った「「Lo tire al pozo(井戸に捨てたわ)」を取り上げた。このようにひとつひとつ独立したセビジャーナスは、これまで見てきたもの(「Pasa la vida」や「Mira a la cara」)のように、3連目のリフレインが共通してはいないし、そもそも4番までがセットでもない。したがって、好きなように組み合わせることができる反面、とりわけ踊りに使う場合は、どれを歌うかあらかじめギタリストに伝えておかないと、とっさにキーを合わせてもらえない可能性があるので多少の注意が必要だ。しかしこちらの形式のほうが、型にはまっていない、本来のセビジャーナスの楽しさが味わえると思うのだがいかがだろうか。

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セビジャーナス
セビジャーナス・クラシカス・デ・オブレゴン

今回取り上げるのは、これまで紹介した踊り用の華やかなものと趣きを異にする、ピアノの弾き語りによるセビジャーナスだ。この11月に新作『J:ビヨンド・フラメンコ』が公開になるカルロス・サウラ監督が手がけた、初のフラメンコ・オムニバス映画『セビジャーナス』に収録されている。演奏しているのは、20世紀を代表するフラメンコ・ピアニストのひとりで数々のヒット曲を生み出したマヌエル・パレハ=オブレゴン。

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