ソロンゴ
ソロンゴ・ヒターノ

『ラ・タララ』と同じく『13のスペイン古謡』に収められ、非常に人気のある1曲が、『ソロンゴ・ヒターノ』だ。“ヒターノ(ジプシーふうの)”という形容詞をつけず、単に『ソロンゴ』と呼ばれることも多い。このソロンゴ(Zorongo)のように、サンブラ(Zambra)、サンガノ(Zamgano)などZで始まる曲が、どうした理由か、グラナダから多く生まれ、フラメンコに採り入れられている。

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ルンバ
ルンバ・フラメンカ

「海がわたしに踊りを教えたの……」そう言っていたカルメンは、生まれ育ったバルセロナを皮切りに、スペイン国内はもとより、アメリカ大陸にわたって名声を不動のものとしていった。その天賦の才により、時には現地の民謡をも、元の味わいを損なうことなく自然にフラメンコのコンパスに乗せて歌い踊ることができた。

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ファンダンゴ
アロスノのファンダンゴ

元々が民謡であるファンダンゴ・デ・ウエルバには実に多彩なバリエーションがある。
 いちばんわかりやすい区分は、地名を冠したパターンだ。いわゆる日本の「〜節(ぶし)」のようなもので、「ファンダンゴ・デ・〜」と呼ばれる地方的ファンダンゴは挙げれば限りなく出てくる。

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ルンバ
ルンバ:サルサモーラ

。タイトルは「サルサモーラ(野いちご)」。ちなみにmoraのつかないzarzaは「イバラ」の意味になる。このイースターの時期、スペインを含むキリスト教国のあちこちで人類の救済を願って掲げられる、イバラの冠をつけたキリスト像を思い描く方も多かろう。これにmora(クワの実、木いちご)がつくと、素朴な野いちごzarzamoraができあがる。

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セビジャーナス
セビジャーナス ケ・ノ・テ・キエラ

こちらもフラメンコのテーマとしておなじみ、禁じられた恋が登場する。ここで、confesorという、あまり耳慣れない単語が登場する。その意味は「聴罪司祭」。カトリックにおいて、懺悔を聞き届けてくれる専門の司祭だ。

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ティエント
ティエント

フラメンコというとどうしてもブレリアやアレグリアスのような12拍子が思い浮かぶが、2拍子、3拍子、4拍子、6拍子など豊富なバリエーションがあってこそ、フラメンコの楽しみも存在するというものだ。
 その中で、2拍子系の代表格といえば何といってもタンゴだろう。

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アレグリアス
アレグリアスその2

アレグリアスの意味するところは「喜び」。しかし以前にも紹介したように、単純な喜びだけではなく、人生の悲喜こもごもがそこには散りばめられている。とりわけ踊り用のアレグリアスの場合は、途中にシレンシオ(沈黙、静寂)と呼ばれる静かなパートが挟まれるのが伝統のスタイル。アレグリアスは基本的に長調だが、シレンシオの部分ではメロディーもしばしば短調になり、しっとりとした風情を醸し出す。一方これも踊りの場合、最後には快速調のブレリア・デ・カディスを伴うのが一般的。ひとつの曲の中で、人生のさまざまな場面を見るような変化が楽しめるのがアレグリアスの面白さとも言える。

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アレグリアス
アレグリアス

スペインにあまたある民族舞踊の中でも、ことに名高いアラゴンのホタを、アンダルシア最西端の町カディスに定住したヒターノが取り入れて生まれたのが、アレグリアスとされている。辞書を見るとalegríaの項には「喜び」とある。しかしそれは、単純に浮かれ騒ぐだけの「喜び」ではない。明るい節まわしの中に人生の哀歓をたっぷり織り込んだ、実に奥深い喜びなのだ。

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