あたしも連れてって…
アンヘリータ・バルガス逝去の報(2023年11月11日)を受け、日本のバイレファンから哀しみの声があちこちで聞こえますが、来週16日(土)にアンヘリータ追悼会が開催される「フラメンコ夜話会」の話し手で、フラメンコ・ギタリストの俵英三さんがかつて伴奏したドローレス・アグヘータも、逝去当夜に出演したステージで哀悼の意を捧げていました。
場所は地元ヘレスのペーニャ・フラメンカ・ブエナ・ヘンテ。「秋はフラメンコ(Otoño es Flamenco)」と題されたカンテ・シリーズ公演の一つで、ギタリストは長年伴奏するヘレスの達人、ドミンゴ・ルビチ。曲はシギリージャでした。
動画を提供するのはドローレスや弟アントニオらの模様を長年撮影してきた「Flamenco Mu de Jere」。ヘレス訛りをはっきり示した名前に強い郷土愛がうかがえます。長尺なので、冒頭の挨拶から、アンヘリータを直接イメージしたレトラのみ翻訳しました。その後も観客とのやりとりから歌詞を紡ぎ出したり、満面の笑顔から急転直下で鬼の形相へ変わったり、天衣無縫な即興センスに瞠目させられます。終盤に「わが心のカンテ・ヒターノを守っていく」と高らかに歌っていますが(8:06~)、その宣言がこれほど似合うカンタオーラはいないでしょう。