刑務所センター主催のカンテ・コンクール優勝者二人の歌唱が収録された「ドス・グリトス・デ・リベルタ」(’97)

囚人カンテの覇者

 2023年12月27日に57歳で逝去したアントニオ・アグヘータの代表作の一つに、「ドス・グリトス・デ・リベルタ(自由への二つの叫び)」(‘97)が挙げられます。’91、’93、’95年に行われた、スペイン刑務所センター主催の囚人カンテ・コンクール優勝者の演唱が収録されたアルバムです。

 ホセ・セラーノ(’91&’95年勝者)5曲と、アントニオ・アグヘータ(’93年勝者)4曲、両者の共演1曲という構成で、本作収録時の1997年、アントニオは30代前半。激情と怜悧が交錯する、父マヌエル直系のアグヘータ一族のカンテは、晩年とはまるで異なる野生派の趣きです。ホセ・セラーノはパンセキートやカマロンを彷彿させる(ライナーにもそう書かれます)、とはいえ決してモノマネではない好演。コンクールの審査は3グループのカテゴリーから1曲ずつ、そしてリブレ系1曲の、都合4曲歌わねばならず、一見無軌道で奔放なアントニオの実力が、確かな総合力を備えていたことが証明されています。優勝者には賞金5000ペセタ、さらに刑期が半分になるという恩赦もあったそうです。このコンクールが始まった経緯など、細かいいきさつはライナーに詳述されているので、ご興味ある方はぜひ!

ライナー掲載の若かりしアントニオ・アグヘータ

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