2008年「Generaciones」でティエント・イ・タンゴを踊るアンヘリータ・バルガス。右はカンテのフアン・ホセ・アマドール。

77歳、ヒターナ女王逝く

 踊り手のアンヘリータ・バルガスが、先週11月11日の早朝(スペイン現地時間)、セビージャの入院先で亡くなりました。享年77。2011年に脳梗塞で半身不随となるも、椅子に座ってのレッスンを続けるなど、不撓不屈の精神は健在でしたが、最後は再びの発作と脳内出血に見舞われ力尽きたそうです。

 日本のバイレファンを虜にした、アンヘリータの際立ったヒターナ性というのは、現代では非常に稀なものでした。訃報を聞き彼女の映像を改めて目の当たりにすると、その落ち着いた佇まいに、日本古来の文化情緒である“侘び寂び”との共通点が覗きます。典雅なバイレの奥底にたたえられた、広大無辺な“静寂”です。

 さて、今週のレトラは本シリーズ初の「踊り伴唱」を材に取りました。

 2008年「ヘネラシオネス」公演でのティエント・イ・タンゴですが、バックのフアン・ホセ・アマドールらが歌うレトラは、渋一色のアンヘリータ・カラーと見事に響き合います。世の中つねに楽しいことばかりでない――端的に言えばそれを具現化した彼女のバイレは、まぎれもなくフラメンコの本質を語っていました。Descanseデスカンセ enエン pazパス――どうぞ安らかに。

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103.アンヘリータ追悼(ティエント・イ・タンゴ)” に対して2件のコメントがあります。

  1. mariayayoi より:
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    1. 中谷伸一 より:
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