
愛好家に有名なこのエッチングは、19世紀に活躍したホアキン・アラウホ作の「Cantaor Flamenco」(1884年)。
理屈を超えて
「説明できない」「矛盾」「不可解」なことが、現代の世の中では減りつつありますが、アンダルシアのカンテ・フラメンコ原初期の姿を映す、無伴奏の語り唄「ロマンセ」では、演者の個性によって、同じテーマでもディテールが少しずつ異なったり、辻褄が合わなかったりします。ですが、それこそが長らく庶民やヒターノの間で広まった「口づたえ」、いわゆる口承芸能たるゆえんでしょう。