中谷伸一の週刊レトラの世界
110.アントニオ・アグヘータ追悼(マルティネーテ)

父マヌエルの死の4日後に収録されたというアントニオ・アグヘータ「ポル・ヌエストロ・ビエン」(’17) 狂気のゆくすえ  正月早々から大変な災難が日本の各地で起こり、本コーナーもこうした追悼記事からの幕開けとなりますが、本 […]

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中谷伸一の週刊レトラの世界
104.ラテングラミー速報(マルティネーテ&ブレリア)

2023年11月16日(現地時間)、今年のラテン・グラミー授賞式は史上初めてアメリカ合衆国以外の地、スペインのセビージャで行われ、注目の「最優秀フラメンコアルバム(Mejor Álbum de Música Flamenca)」は、ニーニャ・パストーリの「カミーノ」(′23)に決まりました。

 本シリーズでも一度取り上げていたアルバムで(第85回)、内容的にも充実の出来栄えゆえ順当な受賞と言えましたが、周囲を最も驚かせたのは、本公演の前に行われたプレガラでのカンテ・フラメンコです。

「あたしは牢屋に入れられた‥‥」と、いにしえのレトラで始まるマルティネーテ! リズムを刻む金床と鉄鎚、つまり本格的なジュンケとマルティージョがステージに持ち込まれ、きらびやかなムードの会場を、一気にカンテホンドの異世界へ引き込みます。身体を折って吐き出されるケヒオ――黒い慟哭に、“フュージョン女王”と称されるニーニャ・パストーリの素顔が露わになりました。サン・フェルナンド生まれの天才少女で、同地の英雄カマロンと知己のあるプーロなカンタオーラ――そのたぐいまれな本質は依然として健在だったのです。

 続くブレリアでは、グラミー候補の一人でフラメンコ・ベーシストという鬼才フアンフェ・ペレス、そして共にマルティネーテを歌った、同じく候補のイスラエル・フェルナンデスらと怒涛のソニケーテを聴かせます。無伴奏のマルティネーテと複合高速リズムのブレリアという、門外漢やフラメンキートには絶対に不可能な選曲で会場を沸かせたのは、第一線のプロとして活躍するフラメンコ・アーティストの譲れない矜持だったのかもしれません。

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中谷伸一の週刊レトラの世界
101.汚れた水でも(マルティネーテ)

カンテ・ホンドの狂気を体現する名盤「ドローレス」(’04)。伴奏はパリージャ・デ・ヘレス “最後の野性”の継承者  2015年のクリスマスに亡くなった、“最後の野性”マヌエル・アグヘータの娘、ドローレス・アグヘータの第2 […]

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河野麻耶の「アンダルシア、私の歩き方」
第15回河野麻耶「アンダルシア、私の歩き方」<利きカンテvol.9知ってる?この違い(4)-シギリージャ、マルティネーテ-アーカイブ

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中谷伸一の週刊レトラの世界
32.カローとヘレ(ティオ・ペリーコ&アントニオ・マイレーナのトナー/後編)

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