アルボレアス

 フラメンコ版「ロミオとジュリエット」あるいは「ウエストサイドストーリー」ともいうべき映画、『バルセロナ物語(原題Los Tarantos)』。1963年公開されたこの映画には、カルメン・アマジャのほか若き日のアントニオ・ガデスやエル・チョコラーテらが出演し、主演のサラ・レサーナを盛り立てた。

ヒロインを演じたサラ・レサーナ自身も名の通った踊り手であったが、この映画の価値を後世に留めることになったのは、なんといっても、カルメン・アマジャの功績が大きいだろう。敵対する二家族の一方の家長役を演じたカルメン・アマジャが、その存在感を最大に発揮する場面は、映画が始まって30分ほどで訪れる。息子と恋仲になった敵対する家の娘を、嫁として認める場面。そこで彼女が見せるあざやかすぎる踊りと唄は、まぎれもなく映画の中の白眉となっている。

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